菱目打ちは、手縫いの下工程です。担当する職人には、その技術力とは別に、穏やかで、冷静な人格者であることが重要視される工程でもあります。パターン上には個々の菱目の位置が既に固定されているので、この工程でもその場の即興的な判断が入る余地はありません。一つのミスがアイテム全体を損なう事になり兼ねないので、各々のアイテムの設計に従って、厳密に菱目を当てていく事が重要です。その後に続く手縫いの工程が美しく仕上がるように、菱目を打った穴は、完璧に垂直で、かつ、等間隔でなければなりません。製品のシェイプやフォルムをも左右する、欠くべからざるステップなのです。